こんにちは、Takaです。
合格してから2か月以上経つとさすがに記憶が薄れてくるのを感じます。やはり合格後も学習を続けることが重要ですね。少し時間が空きましたが、今回はプロジェクト品質マネジメントについてまとめていきます。
what you learn
プロジェクト品質マネジメントは、ステークホルダーの目標に合致するために、プロジェクトとプロダクトの品質要求事項の計画とマネジメント、およびコントロールについての方針を組み込むプロセスからなると、PMBOKガイドで定義されています。
プロジェクト品質マネジメントの以下3つプロセスを確認していきます。
※ () 内はプロセス群の名前を記載。
ここでは、プロジェクトのプロセスが正常に実行されているかを確認する「監査」と、成果物が要求事項を満たしているかをチェックする「検査」というツール&技法が重要になります。
また、品質マネジメントの主要概念において「品質と等級は同じ概念ではない」とあります。低品質であることは必ず問題となりますが、低等級(低グレード・機能が限られているもの)は必ずしも問題なるとは限りません。
例えば、会計クラウドツールの freee の一番低価格のスタータープランは必要最低限の機能のみを提供していますが、品質が高く利用価値のあるツールになっています。
プロジェクトおよび成果物においては、まず何よりも要求事項を満たす品質の担保が重要になります。(ただし、要求事項を大きく上回るような品質を担保する必要はありません)
検査よりも予防を行うことが望ましく、誤りを予防するコストは、検査時に発見された誤りを是正するコストより少ないと一般的に言われています。
顧客満足:要求事項を理解、評価、明確化することで顧客を満足させる。要求事項への適合(Conformance to requirement)と使用適合性(Fitness for use)の両方が必要です。
継続的な改善:PDCA サイクルは品質改善の基本。さらに、統合的品質マネジメント(TQM)やシックスシグマ、リーン・シックスシグマなどの品質改善運動があります。
品質マネジメントの計画は、プロジェクト・成果物の品質要求事項および標準を特定し、順守するための方法を文書化するプロセスになります。
インプット・ツールと技法・アウトプットは以下の通りです。
インプット | ■ プロジェクト憲章 ■ プロジェクトマネジメント計画書 ・ 要求事項マネジメント計画書 ・ リスクマネジメント計画書 ・ ステークホルダーエンゲージメント計画書 ・ スコープベースライン ■ プロジェクト文書 ・前提条件ログ ・要求事項文書 ・要求事項トレーサビリティマトリックス ・リスク登録簿 ・ステークホルダー登録簿 ■ EEF(政府機関による規制、標準やガイドライン、地理的分布、組織構造、プロジェクトや成果物の作業条件や運用条件、など) ■ OPA (品質方針) |
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ツールと技法 | ■ 専門家の判断 ■ データ収集 ・ベンチマーキング ・ブレインストーミング ・インタビュー ■ データ分析 ・費用便益分析 ・品質コスト ■ 意思決定 ・他基準意思決定分析 ■ データ表現 ・フローチャート ・論理データモデル ・マトリックスダイアグラム ・マインドマップ法 ■ テストおよび検査計画 ■ 会議 |
アウトプット | ■ 品質マネジメント計画書 ■ 品質尺度 ■ プロジェクトマネジメント計画書更新版 ・リスクマネジメント計画書 ・スコープベースライン ■ プロジェクト文書更新版 ・教訓登録簿 ・要求事項トレーサビリティマトリックス ・リスク登録簿 ・ステークホルダー登録簿 |
スコープベースライン:プロジェクトスコープ記述書に、成果物の受入基準が含まれています。
プロジェクトスコープ記述書は、以下の内容が記述されています。
品質コスト (COQ) :検査よりも予防 の概念が重要になり、PAF法からなります。
予防コスト:Prevention。トレーニング、プロセスの文書化、正しく作業するための時間などプロダクトおよび成果物、サービスの品質不良防止コスト
評価コスト:Appraisal。テスト、破壊テストのロス、検査などプロダクトおよび成果物、サービスの評価、測定、監査、テストにかかるコスト
不良コスト(内部・外部):Failure。出荷前(内部)もしくは出荷後(外部)に発見された不良コスト(損害賠償、保証)、手直しなどプロダクトおよび成果物、サービスがステークホルダーのニーズに適合しないことでかかるコスト
※評価および予防コストは適合コスト、内部不良および外部不良コストは不適合コストに分類されます。
品質マネジメント計画書:品質目標達成のために適用される方針、手続き、ガイドラインを定めた文書。プロジェクトが使用する品質基準、品質目標、品質に関する役割と責任、使用する品質ツール、不適合や是正処理の手続きなどが記載されています。
品質尺度:プロダクトやコントロールプロセスの適合をどのように検証するかを記述した文書。時間通り完了したタスク割合、CPIが測定したコスト効率、欠陥率などが記載されています。
品質のマネジメントは、組織の品質方針をプロジェクトに取り入れ、組織の品質マネジメント計画を品質活動の実行に移すプロセスであると定義されています。プロジェクトのプロセスが正常に実行されているかを確認する「監査」というツールが重要になるプロセスです。
インプット・ツールと技法・アウトプットは以下の通りです。
インプット | ■ プロジェクトマネジメント計画書 ・ 品質マネジメント計画書 ■ プロジェクト文書 ・教訓登録簿 ・品質コントロール測定結果 ・品質尺度 ・リスク報告書 ■ OPA |
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ツールと技法 | ■ データ収集 ・チェックリスト ■ データ分析 ・代替案分析 ・文書分析 ・プロセス分析 ・根本原因分析 ■ 意思決定 ・他基準意思決定分析 ■ データ表現 ・親和図 ・特性要因図 ・フローチャート ・ヒストグラム ・マトリックスダイアグラム ・散布図 ■ 監査 ■ デザインフォーエックス ■ 問題解決 ■ 品質改善方法 |
アウトプット | ■ 品質報告書 ■ テスト・評価文書 ■ 変更要求 ■ プロジェクトマネジメント計画書更新版 ・品質マネジメント計画書 ・スコープベースライン ・スケジュールベースライン ・コストベースライン ■ プロジェクト文書更新版 ・課題ログ ・教訓登録簿 ・リスク登録簿 |
監査:プロジェクト活動が組織とプロジェクト方針・プロセス・手続きに従って運用されているかを判断するために使用します。構造化され独立したプロセスになるため、組織では監査部門やPMOなどの外部チームが行うことが一般的です。
品質のコントロールは、パフォーマンスを査定し、アウトプットが完全かつ正確で顧客の期待を満たしていることを保証するために、品質のマネジメント活動の結果を監視し、記録するプロセスであるとPMBOKでは定義されています。
プロジェクトの成果物に対して、検査というツール&技法を使って規定されている品質要求事項を満たしているか?(正しいかどうか)を検査し、検証済み成果物をアウトプットします。この検証済み成果物が、スコープの妥当性確認のプロセスで、ユーザーによる受け入れ・最終納品のプロセスのインプットになります。
インプット・ツールと技法・アウトプットは以下の通りです。
インプット | ■ プロジェクトマネジメント計画書 ・品質マネジメント計画書 ■ プロジェクト文書 ・教訓登録簿 ・品質尺度 ・テスト・評価文書 ■ 承認済み変更要求 ■ 作業パフォーマンスデータ ■ EEF(PMIS、政府機関による規制、適用分野特有の規則・標準・ガイドライン) ■ OPA (品質基準・方針、チェックシート・チェックリスト、課題および欠陥の報告手続きとコミュニケーション方針) |
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ツールと技法 | ■ データ収集 ・チェックシート ・チェックリスト ・統計的サンプリング(抜き取り検査) ・アンケートと調査 ■ データ分析 ・パフォーマンスレビュー ・根本原因分析 ■ 検査 ■ テストとプロダクト評価 ■ データ表現(新旧 QC七つ道具) ・特性要因図 ・管理図 ・ヒストグラム ・散布図 ■ 会議 |
アウトプット | ■ 品質コントロール測定結果 ■ 検証済み成果物 ■ 作業パフォーマンス情報 ■ 変更要求 ■ プロジェクトマネジメント計画書更新版 ・品質マネジメント計画書 ■ プロジェクト文書更新版 ・課題ログ ・教訓登録簿 ・リスク登録簿 ・テスト・評価文書 |
データ表現:QC七つ道具の新旧がある。
QC七つ道具 | QC七つ道具(新) |
特性要因図 | 親和図 |
フローチャート | PDPC法 |
チェックシート | 連関図 |
パレート図 | 優先順位マトリックス |
ヒストグラム | アクティビティネットワーク図 |
管理図 | ツリーダイアグラム |
散布図 | マトリックスダイアグラム |
これら七つ道具については、新QC7つ道具とは?従来の7つ道具との違いや各道具を解説 がわかりやすいので、ここでは割愛(笑)
特に重要なものとして
魚の骨ダイアグラム、石川ダイアグラムと言われ、問題や課題の本質的な原因を特定するのに利用されます。
プロセスが安定しているか、予測内のパフォーマンスであるかを判断するために用いります。上限と下限は要求事項に基づいており、許容範囲かどうかを判断できる。繰り返しのプロセスにおいては、平均値をゼロとして、上方管理限界(UCL)を +3σ(シグマ)、下方管理限界(LCL)を -3σ(シグマ)に設定します。UCL・LCL を突破、もしくは許容範囲内でも上方・下方のどちらか片方に7回以上カウントされた場合は、即座に是正処理が必要となります。
※下図はあまりいい例ではないですが、上方に7回カウントしている時点で是正が必要。また、LCLを突破しているのでこの時も是正が必要。プロセスを見直す必要があります。
変数のばらつきを表現します。発生源や構成要素別の欠陥数を示す際に利用されます。
2つの変数の相関関係を明らかにする際に利用されます。
パレートの法則に基づく(80:20の法則)ヒストグラムで、発生頻度の高いものからならべ、是正処理が必要な要因を優先順位をつけて対応する際に用いられます。
プロジェクト品質マネジメントのまとめはここまでで、次はプロジェクト資源マネジメントをまとめます。プロジェクトで必要不可欠なリソース、つまり人をどのようにマネジメントするか、チームを構成し、最大限パフォーマンスを発揮するために必要なノウハウが各プロセスにまとまっています。
今回はここまで!