前回の統合編はかなりの長編になりましたが、今回のステークホルダー編はサクッといきたいと思います。
what you learn
プロジェクトステークホルダーマネジメントでは、プロジェクトに影響を与える人・グループ・組織を特定して、影響度や関心を分析して、ステークホルダーがプロジェクトへ関与することを促すための戦略を策定するプロセスです。
プロジェクトステークホルダーマネジメントの以下4つプロセスを確認していきます。
※ () 内はプロセス群の名前を記載。
プロジェクトに関与するすべてのステークホルダーを特定し、関心、期待、重要性、影響度を分析します。
統合のプロセスであるプロジェクト憲章と同じ立上げのプロセスですが、プロジェクト全体を通して定期的に実行されます。当たり前ですが、プロジェクトを実行中にステークホルダーが変わったり、既存のステークホルダーの権限や関心度も変化するためです。そのため、立上げ時では作成されていないプロジェクト文書などがインプットに入っています。
プロジェクト成功のために、PMが任命された後、できる限り早くこのプロセスでステークホルダを特定することが重要になります。
インプット・ツールと技法・アウトプットは以下の通りです。
インプット | ■ プロジェクト憲章 ■ ビジネス文書 ■ プロジェクトマネジメント計画書 ■ プロジェクト文書 ■ 合意書 ■ EEF ■ OPA |
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ツールと技法 | ■ 専門家の判断(SME) ■ データ収集(アンケートと調査、ブレーンストーミング) ■ データ分析 ■ データ表現 ■ 会議 |
アウトプット | ■ ステークホルダー登録簿 ■ 要求事項 < 以下更新版 > ■ プロジェクトマネジメント計画書 ■ プロジェクト文書 |
プロジェクトマネジメント計画書では以下の計画書が重要です。
データ分析では、ステークホルダー分析を行い、ステークホルダーの役割、利害関係、期待、態度、支援レベル、関心などを分析します。
そして、データ表現において、ステークホルダーをマッピングします。ここでステークホルダーのグリッドを使って表現することで、どのステークホルダーに注力すべきかが明確化されます。
ステークホルダー登録簿が作成されますが、これはその後の以下のプロセスのインプットとして使用されます。
このプロセスも全体を通して実施されます。ステークホルダーが特定された後、ステークホルダーコミュニティへの変更を反映させるプロセスです。主に以下のことがトリガーとなり更新されます。
インプット・ツールと技法・アウトプットは以下の通りです。
インプット | ■ プロジェクト憲章 ■ プロジェクトマネジメント計画書 ■ プロジェクト文書 – ステークホルダー登録簿 ■ 合意書 ■ EEF ■ OPA |
---|---|
ツールと技法 | ■ 専門家の判断(SME) ■ データ収集(ベンチマーキング) ■ データ分析 ■ 意思決定 ■ データ表現(マインドマップ法、ステークホルダー関与度評価マトリックス) ■ 会議 |
アウトプット | ■ ステークホルダーエンゲージメント計画 |
プロジェクトマネジメント計画書の中で以下の計画書が構成要素として含まれます。
プロジェクト文書は以下の構成要素が含まれます。
ステークホルダー関与度評価マトリックスとは、ステークホルダーの現在の関与度と期待する関与度をマトリックスで表現したものです。
プロジェクトや潜在的影響に対する関与度は以下のように表現されます。
下図のように表現します。(Cは現在の関与度、Dは望まれる関与度)
ステークホルダーとコミュニケーションをとり協働するプロセスです。PMBOKガイドでは「ステークホルダーのニーズや期待に応え、課題に対処し、ステークホルダーの適切な関与を促すためにステークホルダーとコミュニケーションをとり、協働するプロセス」と定義されています。
PMとしてステークホルダーからの支援の強化と抵抗の最小化のために行動することは、プロジェクトのリスク軽減に効果があります。
インプット・ツールと技法・アウトプットは以下の通りです。
インプット | ■ プロジェクトマネジメント計画書 – ステークホルダーエンゲージメント計画書 ■ プロジェクト文書 ■ EEF ■ OPA |
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ツールと技法 | ■ 専門家の判断(SME) ■ コミュニケーションスキル(フィードバック) ■ 人間関係とチームに関するスキル(コンフリクトマネジメント、文化的な認識、交渉、観察と対話、政治的な認識) ■ 行動規範 ■ 会議 |
アウトプット | ■ 変更要求 <以下変更版> ■ プロジェクトマネジメント計画書 ■ プロジェクト文書 |
ここではこれ以上詳細に確認する箇所はないので割愛。
プロジェクトの進行、状況の変化とともに、ステークホルダーの関与の活動の効果と効率を維持・向上させることを利点としたプロセスです。
インプット・ツールと技法・アウトプットは以下の通りです。
インプット | ■ プロジェクトマネジメント計画書 ■ プロジェクト文書 ■ 作業パフォーマンスデータ ■ EEF ■ OPA |
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ツールと技法 | ■ データ分析(代替案分析、根本原因分析、ステークホルダー分析) ■ 意思決定(他基準意思決定分析、投票) ■ データ表現(ステークホルダー関与度評価マトリックス) ■ コミュニケーションスキル(フィードバック、プレゼンテーション) ■ 人間関係とチームに関するスキル(積極的な傾聴、文化的な認識、リーダーシップ、ネットワーキング、政治的な認識) ■ 会議 |
アウトプット | ■ 作業パフォーマンス情報 ■ 変更要求 <以下変更版> ■ プロジェクトマネジメント計画書 ■ プロジェクト文書 |
ここでもこれ以上詳細に確認する箇所はないので割愛。
プロジェクト憲章を作成し、ステークホルダーを特定したら、プロジェクトのスコープを定義していきます。次はスコープマネジメントについです。
今回はここまで!