プロジェクトマネジメント統合編の続きになります。前回 Part 1 ではプロジェクト作業の指揮・マネジメントまでまとめていたので、ここからは知識のマネジメントプロセスからまとめます。
what you learn
プロジェクト全体を通して実行されるプロセスで、プロジェクトの成果物を作成・改善するための既存の知識と、プロジェクトによって生み出された知識をステークホルダー間で共有して、将来のプロジェクトで役立てるプロセスです。
ここでいう知識は2種類あり、この両方をマネジメントする必要があります。
インプット・ツールと技法・アウトプットは以下の通りです。
インプット | ■ プロジェクトマネジメント計画書 ■ プロジェクト文書 ■ 成果物 ■ EEF ■ OPA |
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ツールと技法 | ■ 専門家の判断 ■ 知識マネジメント ■ 情報マネジメント ■ 人間関係とチームに関するスキル |
アウトプット | ■ 教訓登録簿 < 以下更新版 > ■ プロジェクトマネジメント計画書 ■ OPA |
プロジェクト文書は以下の通り
教訓登録簿には、以下の内容を記載し、プロジェクト全体で更新されます。またプロジェクトおよびフェーズの終結の段階では、教訓レポジトリとして組織のプロセス資産(OPA)に移管されます。
プロジェクト全体を通して行われ、プロジェクトマネジメント計画書に定義されたパフォーマンス目標を達成するため、進捗を追跡し、レビューし、統制するプロセスになります。
主な活動としては、実施した作業が計画通り実施されているかどうかを、作業パフォーマンス情報と計画書を比較して確認し、進捗状況をプログラムマネジメントへ報告、必要であれば是正処理や予防処理を実行します。また、プロジェクトがビジネスニーズに沿っていることを保証します。
監視およびコントロールの違いについては、PMBOKガイドでは以下のように定義されています。
リスクやコミュニケーション、ステークホルダエンゲージメントにおいては、監視が使われているところもポイントです。
インプット・ツールと技法・アウトプットは以下の通りです。
インプット | ■ プロジェクトマネジメント計画書 ■ プロジェクト文書 ■ 作業パフォーマンス情報 ■ 合意書 ■ EEF ■ OPA |
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ツールと技法 | ■ 専門家の判断 ■ データ分析(※) ■ 意思決定 ■ 会議 |
アウトプット | ■ 作業パフォーマンス報告書 ■ 変更要求 < 以下更新版 > ■ プロジェクトマネジメント計画書 ■ プロジェクト文書 |
作業パフォーマンス情報は、作業パフォーマンスデータ(生データ)が各監視・コントロールのプロセスで比較、収集、分析された結果で、ツールと技法の差異分析でも計画書との比較で使用されます。
データ分析では以下が利用されます。
作業パフォーマンス報告書は、インプットの作業パフォーマンス情報が分析によりプロジェクトの状況や進捗を報告書ベースでまとめたものになります。この報告書と変更要求をもって、是正処理、予防処理、欠陥修正などの変更を実施するかどうかを判断します。
作業パフォーマンス報告書には
などが含まれています。
プロジェクト全体を通して実施され、プロジェクトがベースライン化された後、このプロセスを経て、要求された変更の承認が行われます。変更はすべてのステークホルダーが要求できます。
変更要求の評価・承認・保留・却下は、変更管理委員会(Change Control Board : CCB)を加えて変更管理会議で決定されることがあります。
インプット・ツールと技法・アウトプットは以下の通りです。
インプット | ■ プロジェクトマネジメント計画書 – 変更マネジメント計画書 – コンフィギュレーションマネジメント計画書 ■ プロジェクト文書 ■ 作業パフォーマンス報告書 ■ 変更要求 ■ EEF ■ OPA |
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ツールと技法 | ■ 専門家の判断 ■ 変更管理ツール ■ データ分析 ■ 意思決定 ■ 会議(CCB) |
アウトプット | ■ 承認済み変更要求 < 以下更新版 > ■ プロジェクトマネジメント計画書 ■ プロジェクト文書 |
プロジェクトマネジメント計画書にある、変更マネジメント計画書には、変更管理の方向性とCCBの役割・責任が定義されています。
コンフィギュレーションマネジメント計画書は、プロジェクトの構成項目が記述されています。プロダクトの仕様やバージョン、構成などを管理するために文書化して、常に最新状態に保つことが必要になります。
プロジェクト文書変更版にある、変更ログにすべての変更要求の処理が記録されます。
PMとして変更の要求があった場合のアクションは
の順番で行っていきます。
終結のプロセス群で唯一のプロセスで、プロジェクト立ち上げ時に設定した目的・目標が計画通り達成できたかどうかを確認し、プロジェクトで作成した文書や成果物を移管するプロセスになります。
ここでの主要な作業は以下の通りです。
インプット・ツールと技法・アウトプットは以下の通りです。
インプット | ■ プロジェクト憲章 ■ プロジェクトマネジメント計画書 ■ プロジェクト文書 ■ 受け入れ済み成果物 ■ ビジネス文書 ■ 合意書 ■ 調達文書 ■ OPA |
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ツールと技法 | ■ 専門家の判断 ■ データ分析 ■ 会議 |
アウトプット | ■ 最終プロダクト、サービス、所産の移管 ■ 最終報告書 < 以下更新版 > ■ 組織のプロセス資産(OPA) ■ プロジェクト文書 |
受け入れ済み成果物は、プロダクト仕様書、納品受領書、作業パフォーマンス文書などを含みます。プロジェクトが中止した場合は、仕掛中の成果物が納品されます。
成果物については下図のような流れで最終的な受け入れまで行われます。
最終プロダクト、サービス、所産の移管では、顧客の運用やサポート部門などに成果物やマニュアルなどのドキュメントが引き継がれます。
プロジェクト文書更新版には以下のドキュメントが主に含まれます。
このプロセスが完了し、プロジェクトが終結するとリソースを解放します。
統合の知識エリアを攻略したので、次は立ち上げのプロセスがあるステークホルダーの知識エリアを理解していきます。
それでは今回はここまで!